<自分で 気づく/築く 可能性>


第11号 話し方聴き方講座~西田教授にインタビュー全文~

2015年10月20日 16:05

今回の&YOUでは心理学の先生で多数のTVに出演なさっている西田公昭先生にインタビューを行いました。 興味深いお話がとても多く、本誌内ですべて載せることはできませんでした。その全貌をご覧いただけます。

こぼれ①~新密度による会話の長さの違いは?

共有している知識体系が多いか少ないかの差が大きい。話というのは何割か知っているというなかで、 コミュニケーションの中で対話発話をするじゃない?会ったばかりにする話は、共有するためにお互いの 知識を確認し合っているのです。例えば、大学の学食について話し合うとする。学食を知らない人は 「何それ!?」となるし、だけど友達同士ならば「学食おいしくないよな」って言うだけでわかるわけでしょ? 学食にどんなものがあるのか共有されていないと、話がわからないからつまらない。親しさというのはある意味、 共有している知識の量が多い人のことを指す。親しくない人のことは少ない人のことを指す。だから親しくない人と 話すことが難しいのは誰でも当たり前のことである。そこでアクティブリスナーになって相手の話を聞き出さなきゃいけない。 もう一つには深い教養がものを言う。いろんなことを知っている人は相手の話に関してすぐに知識の共有ができる。 政治に詳しい人だったら政治について、コンピュータならコンピュータについての話ができる。これをうまくするには 人の話を聞いていろんな事柄についての雑学的なものを身につけておくことが大切だろう。だから大学教育に おいて一般教養の大切さがある。一般教養というのは大学の専門教育の中から、外れてしまった。だけど今、 また戻りつつある。やはり教養が大切。そういてみんなに、「こいつは出来る奴だ」と思わせることができる。 話ができない人とは話したくないと思うじゃない?

こぼれ②人と関わることであいさつが与える影響は?

挨拶はできるだけで相当得をする。挨拶をすることは自分を大切にしてくれてるという思いがあるからであって、 私はあなたに対して真面目に向かいますという約束をしているようなものです。心理学の用語で言うと行動確認仮定 といって、仮説を持ってしまうと人はそれを実証する行動をとってしまい、嫌っているのかと思うとその嫌っている 証拠をみつけ出してしまう。例えば、私がたまたまあいさつをしなかったとして、「私のことを嫌っているのか?」と 仮説をもつ。次のときに私が冷たい態度をとってしまうと「やっぱり俺のことが嫌いなのか!」と強く感じてしまい、 本当は自分が悪い状況を作り出していたことに気付かず相手を嫌ってしまう。責任は自分にあるのに相手のせいにしてしまう。 そういう現象はよく起こる。逆にポジティブな思考で「私は好かれいているんだ」、そう思える人のほうがうまくいく。 だから、あいさつというのは、できれば良好な関係でいたいという意思表示だし、自分への評価をやっているうちに高めている。 あいさつの受け手にたってみるとわかる。自分が挨拶されるのはうれしいと思うかどうか。ずいぶん人間関係が変わりますよ。 自分の仲がよいグループでない人にも「おはよう」とあいさつするだけで変わる。不意にあいさつされて、返事ができないと 自分が罪悪感に見舞われますよね?「しまったぁ」と思って次に会ったときには、絶対挨拶しようと思うでしょ?そうやって お互いの関係がいい方向に回り始める。これは友達や先輩・目上に人でも変わらない。是非やってみるといい。

こぼれ③人見知りや緊張でうまく話せない人はどうすればよいか? トレーニングをすることです。突然できるようにはなりません。日々のシミュレーション練習が大切。最も緊張しない人との 会話から初めて、その次に緊張する人・・・というように知り合いの中でもランク付けをしていって、順番にこなしていく。 駄目だったら戻る、このやり方をしていって、少しずつ階段を上っていく感じで克服していくというのが基本です。人は楽な 方向へ流れてしまうので緊張する場面を回避してしまう人が多い、気が合う友達ばかりに行ってしまう。特に男子は めんどうくさがりだから当てはまる。逆に女子はたくさんの子と付き合わなければならないので、スキルは発達するが ストレスが溜まる傾向にあります。

こぼれ④相手に良い印象を与えるには?

相手に関心をもって接すること。受容的態度といって話を聞きますという態度をとったり、さりげないアイコンタクトをする。 ちょっと下をみて、ときどき目を合わせる程度でいい。見た目は相手に合わせること。相手の服装からあまり逸脱しないぐらいの ことを気をつける。初対面の場合は何らかの共通性を探す。そこを見つけてしまえば相手も落ち着いてくれる。例えば 「どこの地域出身なんですか?」など何でもよいから共通点を見つけると話は進みやすい。 もう一つはリラックスである。笑顔を見せることはリラックスを伝える手段の一つ。でも、なかなか笑顔なんか出せないよ という人もいる。だから自分の心理状態をよく理解すること。今自分は「ストレスが溜まっているな・怒っているな」を自覚する。 自分の気持ちに敏感でないとどんどん溜まっていってしまう。それがコミュニケーション以外のことでも大切になる。

こぼれ⑤苦手な人とはどう付き合うのがいいか?

苦手な人と付き合うには一つは『鈍感になること』です。鈍感力ともいうが、あまりその場では相手のことを評価しない、裁かない。 敏感に苦手な人のことを考えてしまうと余計に自分を辛くすることになってしまう。マイペースになりましょう。他には、 苦手な人と会ったあとは親しい人と会うことで自分の気持ちをリカバーさせることもできる。正直なところ、苦手な人と 長い時間一緒にいたいとは思わなかったり、好き嫌いがあるのはしょうがないので、最低限自分をコントロール できるようになったら,相手に失礼のない程度に時間もコントロールする。苦手な人と関わったあといかに自分の緊張を リカバーさせる場面を持てるかです。

こぼれ⑥沈黙になった時どうすればよいか?

1つは、まず沈黙とはいろいろな意味がある。なぜ沈黙するのか、それによっては焦らず気にする必要はない。ほっておいてもよい場合もある。 しかし、それが困ったなという場合においては、話をしようとするのではなくて、『聞く』のです。よく、聞き上手という言葉があるというが 勘違いしている人が多い。聞き上手というのは黙ってうなずいている人を聞き上手と思っている人がいるが、それは大間違い。 アクティブリスナーというが、本当の聞き上手とは相手の話を聞き出すのがうまい人のことを言う。例えば、話を投げかけるというか、 自分がネタをもって話すのではなく、相手の話をうまく捕まえて引っ張り出させる。具体的にどうすればよいのかというと、~が好きですか? ではなく、どういったものが好きですか?WHAT・WHYといったような展開を持たせるようにすること。どんな映画・音楽が好きですか? どんな本を読みますか?テーマはいろいろあると思うが、それは場面に合わせて、仕事領域の話をするのか・プライベートの話をするのかを考える。 後は相手がどんなことに関心を持っているのかということをヒントに、喋らせればよいだけである。それが沈黙を破っていくための基本である。

こぼれ⑦つまらない話の対処法は?

つまらない話だけで終わらせてしまうからいけないかもしれない。面白い話やポイントを話させるように仕向けたらよい。 相手が生き生きとしゃべっていて、もし自分が関心を持てないんだとすると単に自分が悪いのかもしれない。聞くのをめんどうくさがったりね。 ただ面白くないではなく、話の内容がわからなくてつまらなく感じてしまう時もある。ある程度自分が話を受けたときに 答えられるような知識をもたなきゃいけないという考えも持つべき。最後はやっぱり懐の深さが勝負を決めるみたいな。 なんでも受けとめられる知識を持つ人はいますよ。理系だろうと文系だろう関係ないです。もしかしたら関西的には 「その話面白くないっすねー」とかいったほうが面白いかもしれないね。(笑)

こぼれ⑧弾んだ会話を続けさせるためには?

基本は受容すること。個人的には明石家さんまがうまいと思う。実際にTVに一緒に出演したこともあるが、 やはり、とにかく相手を褒めたりして心地よくさせて、どんどん質問を横に広げたり、ちょっとしたツッコミをいれたりする。 アクティブリスナーとして相手にしゃべらせるテクニックが高い。大切なのは相手を理解して、受け止めて、 話に参加させようとすること。褒めて褒めて、もっとしゃべっていくんですね。そして時々、評価をするのです。 「面白いね!・エーッ!?」というリアクションをしたりね。他には、うなずきやときどき目線をあわせるとか混ぜることも必要。 話を聞く姿勢は大事ですよ。身を乗りだしたりしてね。覚えておくといいと思うのは否定しないこと。「でもね・でもさ」はよくない、 話を止めるきっかけになってしまう。肯定するという原則が大事。さらに話を広げるためのテクニックとしては、 話が止まったときに相手の言ったことをまとめて言い換えること。そうすることで話し手のリセットをかけてあげる。 しゃべっていて盛り上がってくると、何をしゃべっているのかわからなくなるときがある。そのときにまとめてあげると この人はしゃべりやすい人だなって感じる。まとめや言い換えは難しいかもしれないから、それができない人は相手が 言ったことを繰り返していうとよい。それだけでも相手はしゃべりやすくなる。相手が言ったことのポイントを押さえることです。

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